骨折り損のくたびれもうけ

 

今年の夏は色々ありすぎた。フィンランドに行き、お伊勢参りをし、同期たちと飲み、そして骨折した。

 

絵に描いたような転落劇だった。今年の夏は今までの人生で一番楽しいのでは? 計画の段階でそんな予感があり、確かにめちゃくちゃ楽しかった。骨折するまでは。

 

土曜日の夜練だった。バク宙を跳ぼうとしたところで突如恐怖心に襲われ、思わず手をついた。完全に自爆だった。

後から動画を見たのだが、高さも問題なかったし、キャンセルしようとしなければ跳べていたはずだった。気持ちが負けてしまっただけだった。

 

家に帰ってからが地獄だった。痛み以外の全ての感覚が失われていた。家にあった保冷剤はすぐに底を尽きた。手帳を添え木代わりにあてがって、テーピングでぐるぐる巻きにした。これが応急処置ってやつか。一人で嗤っていた。

 

明日は絶対病院に行こう、早く夜が明けてくれ。痛みに耐えながら近くの整形外科を探した。日曜に空いている病院なんてほとんどなかった。スマホ通信制限、最悪な巡り合わせだった。

 

気づけば朝になっていた。痛みがあったとはいえ、眠ることはできていたらしい。疲れは全く取れていない。左手は元の倍くらいに腫れていた。

 

当然のごとく、骨折と診断された。なんの驚きもなかった。骨折ほどの大怪我は初めてだったのに。

 

それからは味気ない日々だった。片手が使えないだけで全てが不便だった。料理も洗濯もままならない。タイピングはできない。少しでも血圧が上がれば痛みが増す。

 

固定期間が長かったせいか、筋肉がガチガチに固まっていた。リハビリ中も痛すぎてずっと悶えていた。整体師さんから「男なんだから痛いのは我慢しろ」って言われた。知るかそんなの、痛いもんは痛いんだよ。瞬間でそいつのことが嫌いになった。

 

体を動かせなくなった分、ストレスが溜まるようになった。腹立たしいことこの上ない。それでも部活には顔を出した。家に引きこもっても鬱になるだけなのは分かってたから。いやでも朝練にも行ってたのは頭悪すぎたな。

 

唯一プラスになったのは筋トレをするようになったことか。手は使えないので腹筋しかやってないけど、何だかんだ毎日続けてる。大して筋力がついたわけではないが、以前より明らかに引き締まってるのを実感してるのでかなり嬉しい。続けていきたい。

 

つい先日もう一度病院へ行き、一応完治という扱いを受けた。医者からは「もし何かあれば来てください」と言われただけで「完治」のかの字も言われなかった。病院ってそういうものなのかな。

 

そんなこんなで年の暮れ。大学入ってから続けてた日記もいつのまにかやめてしまった。代わりにこんなつまらないものをつらつら書くようになった。

 

「今年も何もしてねぇ」が年末の定型文だが、別に何もしてない訳ではない。今年の夏はフィンランドに行き、お伊勢参りをし、同期たちと飲み、そして骨折した。しょーもな

 

来年はどうなるかって? まぁなるようになるだろう、俺はいつも目の前のことで精一杯だから。